こんな恋の話し
「あー奏疎過ぎ。2人ともならんでバス待ってるやん。」

方向は違うが、同じくバス通学の幸恵は呆れ顔で、私に言った。

「だって興味ないもん。でも、同じ班で手伝ってくれたの岩田君だけだね。覚えたよ」
そろそろ火も安定したと思い、切った野菜や牛肉をまとめて私は竈に再び向かう。

汗だくの岩田君はまだいた。というか、待っててくれた。

「油跳ねするから、炒めるのは俺がするわ。落ち着いたら交代な。」


実にいい男だ。私の性格上ちやほやされる事なく生きてきたので、有難うを言うのが精一杯だったが、彼の思いやりが嬉しかった。

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