【完】どの夏よりも切なく
「……日下部……」
「なに?」
「今日、ありがとう。来てくれて」
「……うん…ごめんな。いつも断ってばかりで」
「ううん。いいの。断られるの分かってて誘ってる私が悪いんだし」
「そんなことねえよ。俺がもうちょい要領良かったらいいんだよ。俺、一つのことしか考えられねえから」
「……そこが日下部のいいところじゃん」
「まぁな」
日下部はニシシと笑うと右腕で、自分の目を隠して、フウとため息をついた。