【完】どの夏よりも切なく

「なつき」



前を行く私の手が、日下部の手に包まれた。



びっくりして振り向くと、日下部は照れたように目を伏せながら



「えー…と」と言葉を探すようにつぶやくと目を合わせて


「はぐれると大変だし、さ」



そう言って、人ごみから私を守るように前に出ると、私のために盾になってくれた。



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