1つの願い事【完】
これ以上迷惑かけたらダメなんだと。
もうたくさんの迷惑をかけているんだからと。
少女は子供ながらにそれがわかっている。
だからこそ、我が儘は言えない。
「ねえママ?」
「なに?」
「愛美、短冊がほしいな」
「え?」
「もうすぐ七夕でしょ?」
すぐに母親は小さな紙とマジックを持ってきた。
「ママは見ちゃダメね
後で愛美が下の竹に飾ってくるから」
「え?
わかったわ」
母親が出て行ったことを確認して、少女は慣れない手つきで小さな文字を書いた。