LOST
嵐が過ぎ去った後のように静かになった保健室。
俺はもう一度瞼をとじた。
さっきまで気持ち良く感じていた、湿っぽい空気は今となってはうっとうしく感じる。
あの子はなぜ泣いていたんだろうか。
生温い風が吹く。
気にするな。
俺には関係ないことだ。
体に湿気が張り付く。
「はぁ………。」
どうしても、さっきの女の子が気になる。
自分でも何がなぜ気になるのかわからない。
気にしないように、すればするほど、さっきの啜り泣く声が頭にリピートされる。
ダメだ。
俺は保健室にいれなくなり、急いで出た。