LOST
空が泣きそうだ。
きっと詩人だったら、こういう表現をするのだろう。
空が今にも悲鳴をあげそう。
俺はこう思う。
泣くなんて可愛らしいもんじゃない。
空は泣かない。
きっと俺みたいに静かに、確実に、悲鳴をあげているだけだ。
どんよりした空を見つめて思う。
今の俺を見たら、多くは“病んでる奴”と偏見の目をするんだろう。
俺はそんな戯れ事を考えながら、空に向けていた目線を地面に向ける。
そんな悲鳴を受け止める地面はどんな気分だろうか。
身投げをする悲鳴をあげた身を受け止めるのも地面だ。
自分の悲鳴も受け止めて貰えるのだろうか。
そうやって地面を見続けていると、
「だめ!!」
「…え。」
後ろから物凄い勢いで抱き着かれた。