カワイイだけじゃ物足りない
第一章
「初めまして、こんにちは」
「…はぁ」
今日もやってしまった。
徹夜での読書を…
平日は学校があるので辛くなることはわかっているはずなのに、どうしてもやってしまう癖なのであった。
立ち上がろうとして踏ん張ってみるが、身体が思うように動かない。
まるで背中に重りを背負っているかのようなそんな状態。
それに元から太っているので体重が重く、それがあるせいでさらに重く感じる…
最悪な状態だ。
フラフラする。
でも学校いかないと。
無理矢理身体を動かし着替えて、一階のリビングへと向かう。
一階ではお母さんが朝食をテーブルに並べているところであった。
「あら、祐楜(ユウコ) 今日は起きるのが遅いのね」
「……う、うん」
お母さんの言葉に口ごもった返事を返す。
徹夜したなんて言えない。
言ったら何か言われそう。
そんな気がする。
「早く食べないと遅刻するよー」
先に席に着いて朝食を食べようとしている妹の彩夏がサラリと言う。
そんな彩夏にそうだよねと返事を返し、私は彩夏の隣に腰をかける。
そっと置かれていたお箸を持ち、並べられた朝食を口に運ぶ…が…何だか口の中で味が感じられない…
というか食欲というものが欠落したかのように苦痛にしか感じられなくなっている状態であった。