カワイイだけじゃ物足りない




………


……………

薬品の匂いがする……

え?……

そこで私は気が付いた。

目の前には白い天井がある。

瞬きを数度行ってから、微妙に頭を動かし周りを見わたしてみた。

どうやら私はベットに寝ているみたい…

「あ、気が付いたみたいだね」

ふと、いつからいたのか横から知らない男の子の声が聞こえてきた。

「…?」

えっと誰だろう…

しっかり確認しようと先程よりも頭を動かして声がした方へ向いてみる。

……あれ?

綺麗な金髪が目に映る。

驚いたことに先程ぶつかってしまった美少年がそこには居た。

綺麗な人形のように整った顔が私をじっと見つめている。

「あら、目覚めたようね」

美少年の隣から別の声が聞こえた。

「え…」

白衣に眼鏡をかけた女の先生がニコリと笑いながら私の側に近付いてくる。

「どう?調子は?」

「………だ、大丈夫です」

そう、よかったと言ったかんじの表情に変わり

「ここは学校の保健室よ 貴女ずっと寝ていたんだから」

と苦笑いを含めた顔で言う。

「こちらの彼がね 貴女を連れてきたのよ
始めは何事かと思ったけど、ただの寝不足みたいだったから安心したわ」

「………」

何と言うことなのだろう。

寝不足でぶつかった拍子に倒れて気絶というあまりにも恥ずかしい行動をとってしまい、あげくのはてに保健室にまで運びこまれたこの有様に、本当にこの場から今すぐに消えてしまいたいと心の底から思う。

顔から恥ずかしさのあまり熱がでていることが自分自身凄くよくわかる。

恥ずかしくて人の顔がまともに見られない。

「んじゃ、目覚めたみたいだし君はクラスに戻りなさい」

頭から恥ずかしさのあまり湯気をだしている私を余所に先生は美少年に戻るよう薦める。

「あ、はい…そうですね……………君…大丈夫みたいでよかったよ…では失礼しました」

美少年は先生の言葉に従い、私に安心したという心情を伝え、保健室から去って行った。

美少年の言葉に自分は彼に心配されていたということを改めて認識してしまい、さらに顔を真っ赤にしてしまう。

恥ずかしくて…死にそう。

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