カワイイだけじゃ物足りない

ふと、疑問が私の頭を過ぎる。

「あ、あの……先生……私はどのくらい寝ていたのでしょうか?」

よぎった疑問をそのまま先生に尋ねてみた。

「そーねぇ…4時間くらいじゃないかしら?」

え?
そんなに…寝てたんだ。

あまりの爆睡っぷりに涙まで出そうになる。

「…4時間も…すみません…本当にありがとうございます…」

俯きながらモゴモゴと御礼を述た。

「…アハハ…私は別に構わないけど……さっきの彼…貴女が目覚めるまでずっとここにいたのよ…私は教室にすぐ行きなって言ったのだけど…自分にも責任があるので、起きるまで此処にいますって言うから…しょうがなく此処に居てもらったのよ…それに貴女を此処までおぶってきたみたいだし…御礼は彼に言うべきね…かなりお世話になったわけだから」

え?

先生の言葉に私は言葉を失う。

先程の美少年君はそこまで私にしてくれたという現実に驚いたからである。

私のことなんてほっといても大丈夫なのに。

それに今までそんなに気にしていなかったことだけど、こんなに太った私を気絶していたのに学校の保健室にまで運んでくれたなんて…

どんなに大変だったことだろう。

本当に天使みたいな存在に思える。

嬉しくて嬉しくて先程まで溜まっていた涙が、続いて溢れ出た涙に押されてついに零れた。

「あらあら…どうしたの?」

先生は私が涙を流していることに驚き、私の肩に手をおく。

ポロポロ

私……泣いたの何年ぶりだろう。

そっと心に浮かんだ言葉であった。

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