カワイイだけじゃ物足りない
ゆっくりと机と椅子の位置を微妙に調節しながら椅子へと腰をかける。
特別周りの人間が気になる訳じゃないので無意識に窓の外を見てしまう。
ぼーっと先程と同じ様に眺めていると…
「また、逢ったね」
横から最近……いや…ちょっと前に聞いたことのある声がした。
振り向いてみると、やはりそこには私を助けてくれた美少年が、爽やかな笑顔で立っていた。
「……あ」
思わず声が漏れる。
「まさか、同じクラスだったとは驚いたよ」
本人も驚いていたことに苦笑いを含めながら私に言う。
「それに、席も隣りになるなんて」
「そ……そうだね」
人と余り話していないせいか、ついつい素っ気ない態度をとってしまう。
朝助けて貰ったというのに…
「…………」
美少年くんはそんな私の反応を見て、表情をかえぬまま何かを考えている様子であったが、不意に机から椅子を引き、椅子に腰を下ろしてから私の方へ改めて向き。
「……そういえば、自己紹介してなかったよね」
私の素っ気ない対応は名前を教えていないことが原因だと考えたのか申し訳なさそうな顔で私を見ていた。