かけら(「坂道」 短編集)
かけら1 うしろ
坂道をくだる二人の後姿は、とても幸せそうだった。
裕美と一緒に通り過ぎる金網の向こうでは、ケンジがいつも泥だらけで白球を追っていた。
その情熱は、最後の夏の大会に向けられていた。
奈央はケンジの後姿に、心の中でいつも声援を送っていた。
最後の試合で大声で叫ぶ裕美の隣でも、心の中で負けないくらいに、声が枯れるくらいに声を張り上げていた。
その試合で負けてしまい肩を落とすケンジと一緒に坂道をくだりながら、裕美は優しく笑っていた。
隣を歩くケンジも、爽やかに笑っていた。
そんな二人の後姿に、奈央は小さく「オツカレサマ」とつぶやいた。
その左手には、渡せなかった小さなお守りが握られていた。
裕美と一緒に通り過ぎる金網の向こうでは、ケンジがいつも泥だらけで白球を追っていた。
その情熱は、最後の夏の大会に向けられていた。
奈央はケンジの後姿に、心の中でいつも声援を送っていた。
最後の試合で大声で叫ぶ裕美の隣でも、心の中で負けないくらいに、声が枯れるくらいに声を張り上げていた。
その試合で負けてしまい肩を落とすケンジと一緒に坂道をくだりながら、裕美は優しく笑っていた。
隣を歩くケンジも、爽やかに笑っていた。
そんな二人の後姿に、奈央は小さく「オツカレサマ」とつぶやいた。
その左手には、渡せなかった小さなお守りが握られていた。