キミへ

「店員に危害加える奴は客だろーがなんだろーが関係ねーっつっただろーが」

「……っ」

「女だからって甘くみてんじゃねーよ。てめぇみたいな奴がいるから悲劇が生まれるんだよ」



いい加減分かれよ。そんなことしたって意味ねーってことによ…。

あたしはくるっと反対を向いて頭を下げた。



「お騒がせして申し訳ありませんでした。」



そして頭を上げてニッコリと笑った。



「どうぞ皆様は引き続きお楽しみ下さい。
では、失礼します」



また浅く頭を下げてそこから出た。

あの男がどうなったかなんてあたしは知らないけど、ただその場所から消えたかった。

やっていいことと、悪いことの区別くらいあたしだって出来る。

あれは、間違いなくやっちゃいけないこと。

例えチャラくても、お客にはかわりない。

でも、店員に手ぇ出す輩がどこにいるのさ。



(あ〜あ…、これでまた退学とか言われたらどうしよ…)



親に顔向け出来ねーじゃん…。



(あたしってやっぱ問題児だ……)




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