キミへ
はぁ…、とやるせない溜め息をついて制服に着替えた。
(あ、みんなに迷惑かけちゃったなぁ……)
あとでちゃんと謝んなきゃ…。
くっそ…あのチャラ男のせいだ。
コンコン
「杏菜…?」
ノックが聞こえたと思ったら次には聞き慣れた声が聞こえた。
「……怜衣?」
「うん」
「あ、と…ちょっとだけ待ってね!」
まだブラウスしか着てないのにこのままドアを開けられたら恥ずかしくて死ねる。
とりあえず、スカートを穿いてドアを開けた。
「あー、ごめん。途中だった?」
「ううん、いいよ別に。入る?」
無言で頷いて入ってくる怜衣。
あ…あたし怒られるかな…?
まぁ、当たり前か。あれは完璧あたしが悪いし。
「……杏菜?」
「ん〜?」
間延びした返事をして靴下を履く。
10月下旬に素足は流石に寒い。寒すぎる。
「怜衣? 何?」
「……」
怜衣って…ハッキリしないよね〜…。
言いたいことあってもなかなか言えないの。