キミへ
「怜衣の悪いとこだよね」
「え?」
キョトンとした顔であたしを見る怜衣。
うわ〜、可愛い…
じゃないや。
「言いたいことあっても、ハッキリ言わないの。それじゃあ相手に何も伝わんないよ?」
「……うん」
…うん。まぁいーや。
あたしはキャラメル色のダボダボセーターをとってそれを着た。
「…ごめんね、さっき」
「え? あ、あれは…」
「ついカッとなってさ…。なーんかムカついて」
「…なぁ杏菜」
「…ん?」
あたしは下に向けていた顔を怜衣の方に向けた。
「杏菜、なんかされなかった?」
「へ?」
「俺さ、杏菜がキレる前チラッと見えたんだけど…」
「うん?」
「あの男に、迫られてなかった?」
言い方だけで、怜衣が怒ってるのが分かった。
怜衣って…感情的、だよね…。
「………」
「本当のこと言って? 誰も杏菜のせいなんて思ってないから」