キミへ
「あ、俺戻んねーと…。玲音に怒られる」
「抜け出して来たの?」
「んー、まぁな。杏菜心配だし」
それはどっちの意味で心配なの?
……なぁんて、とうとうイカれたかあたしの脳ミソ。
「今日はもうゆっくりしとけな?」
「ん…」
「…杏菜?」
「ん?」
「眠い?」
「ううん?」
なんで急に眠いなんて聞いてきたの…?
「そ? 寝んなら暖かくしとけよ?」
「うん」
「……」
「…ちょっと行くんじゃないの?」
離したと思ったらまた抱き締めてきた。
ちょっと…あたし平然を装ってるけど、心臓バクバクしてんだからね!?
「怜衣」
「……ん」
あーもー……可愛すぎ!!
いつものおちゃらけ怜衣はどこいった!!
「ほら、頑張って行ってきて? 前半もうすぐ終わるから」
「ん。よし」
あ、なんかやる気になった
「じゃ行ってくんな」
「うん、いってらっしゃい」
手を振って笑顔で見送った。
ちゃんと笑えてたかな…?って少しだけ心配した。