キミへ
「な、杏菜」
「ん?」
にこぉと笑って杏菜に言った。
「明日、最後の文化祭一緒にまわろうぜ」
「うん」
結局、最初の日は俺が疲れて寝てたせいでいけなかったし、今日は今日で行く気になんねぇし。
ラストを飾る打ち上げも明日だから、明日ぜってー言うんだ。
「絶対だぞ? 約束だかんな」
「わかってるよ」
クスッと笑う杏菜にニマッと笑い返して、まだ杏菜の目に残ってた涙を親指で拭った。
……なんか、ちょっと顔赤くねぇ?
「あ、俺戻んねーと。玲音に怒られる」
ホントはこのまま一緒にいたいけど…玲音怒るとマジ怖ぇし。
「抜け出して来たの?」
「んー、まぁな。杏菜心配だし」
今みたいに、1人で泣いてたらヤだし。
まぁ他の男に杏菜の泣き顔なんて見せたくねぇし。
「今日はもうゆっくりしとけな?」
「ん…」
眠そうに返事する杏菜が気になった。