キミへ

隣にいる怜衣は今にも淳に掴み掛かりそうだ。

こんなとこで問題なんて起こしたら、少なくとも停学にはなる・・・・。



(文化祭、最終日なのにな・・・・)



こいつのせいで、何もかもパァー。

せっかく嫌なこと忘れて楽しもうと思ったのに・・・・。



「なぁ杏菜。オレらまた付き合わねぇ? やっぱオレには杏菜しかいねえわ」



わざとらしく言ってくる淳に、怜衣が動こうとした。

止めて・・・、怜衣がわざわざ言わなくていいの・・・・。

あたしの・・・問題・・だから・・・・。



「なぁ? 杏菜」

「・・・・・って」

「何?」

「・・・帰って」

「はぁ?」



上がっていた口角がみるみると下がって、怒りの表情になる。



「帰って。あたしはもう、アンタとヨリを戻す気はない」

「・・・・オレがわざわざ来てやったのにか」



相変わらず俺様だな。わざわざって、アンタが勝手に来たんだろーが。



「あたしは来いなんて一言も言ってない」




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