キミへ
第一、あたしはアンタが世界で一番大嫌いだ。
顔も見たくなかったのに、また見ることになるとはね・・・・・。
「お前・・・、見ねぇ間に随分大口叩くようになったじゃねぇか・・・・」
「・・・帰れ。もうアンタに用はない」
「てめえ・・・・」
ヤバイ・・怒らせたかな・・・?
って、心配する必要もないか。
「もう2度とあたしの前にその面、見せんな」
怜衣の腕を引っ張ってその場を離れた。
全力で走ってね。
アイツ・・・自分が欲しいって思ったもんは絶対手に入れる主義だからな・・・。
今さら後悔したって遅いし、もともと好きじゃないのに付き合わされたし。
「最ッッ悪・・」
ぎゅっと痛いくらい手を握り締めると、後ろから小さく『杏菜』と聞こえた。
「ん?」
「手・・・」
「へ? あっ、ごめん!」
どうやら、怜衣の腕まで強く握っていたらしいあたし。
痛そうな顔した怜衣がいた。
「うわぁ・・・、ごめんね? 大丈夫?」
「ん、まぁ大丈夫」
まぁの部分が若干気にもなったけど、本人が大丈夫って言ってるんだから大丈夫なんだろう。