キミへ

あたしが言うと、何かと笑われる。

何で? あたしそんなに面白いワケ?

前じゃ、こんなの絶対あり得なかった。

ノリが悪い、とか冷たい、とかこんな性格のためにいろいろ言われてたのに…。



「杏菜ってほんと正直だよね!」

「素直すぎっ」

「そんなとこも可愛いけどね〜」



上から千嘉、龍、玲音の順番。

今は違う。

誰もあたしを冷たいなんて言わない。

でも逆にどう対処していいか分かんないけど、ありのままのあたしでいいんだよね…?

偽らなくて、いいんだよね……。



「寒いのがキライな杏菜のためにも、ここは玲音ん家で決定だね〜!」

「あー、はいはい。わかったわかった」



かなりテキトーに受け流してるけど…。

するとたまたま怜衣と目が合って、逸らされるかな…なんて少し思ったけど……、



「っ!」



怜衣はニッと悪戯な笑みを浮かべて玲音を弄りに行った。

……ずるい、あんな笑顔見せるなんて…

あたし今絶対、顔、真っ赤だ……




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