キミへ
「およ、杏菜? どした?」
「顔、真っ赤だぞ?」
「きっ、気にしないで」
冷静さを失ってテンパるあたし。
これが惚れた弱味ってやつ…?
「んじゃ今日はもう帰ろーぜ」
「杏菜ー、水曜日迎えに行くからー」
『あ、うん』と軽く返事して雅に手を振った。
迎えにって…もしかしてバイクでくるのかな…?
「じゃあ、うちらも帰ろっか?」
「そだね」
「イタチー、起きろー? 帰んぞー」
未だ机の上に突っ伏して爆睡してるイタチを龍が起こす。
てかよく寝るね? 最近寝てばっかじゃん。
「ダメだ。起きねー」
そこであたしはピーンと閃いた。
「千嘉、起こしてあげなよ」
「へっ!?」
千嘉なら起きるんじゃないかって、少しだけ思ったからね。
「ほら、千嘉早く! 帰れないよ」
「うっ……。わ、わかったよぉ…」
恐る恐るイタチに近寄る千嘉が可笑しくて笑ってしまった。