キミへ
千嘉がゆるゆると肩を揺すって言うとイタチはすぐに起きた。
うん、やっぱし。千嘉なら起きるか。
「すげー…。これからイタチ起こす時は千嘉に任せよ」
「え〜っ、やめてよっ」
顔を真っ赤にさせて寄ってきた千嘉にあたしはまた笑った。
「もう! 杏菜笑いすぎだしッ」
「あははっ! ごめんごめん」
「思ってない〜〜っ!!」
ぷんすか怒る千嘉にちゃんと謝るとすぐに笑顔になった。
「んじゃ帰るか」
「うんっ」
……千嘉とイタチ、早くくっついちゃえばいいのに…。
「杏菜?」
「へ?」
「何か、顔緩みまくってるけど?」
そう言って笑うのは玲音だった。
「うそっ?」
「ホント。特に頬がね」
「うわぁ…、恥ずかし」
「何で? 可愛いじゃん」
……何でこの男は恥ずかしいセリフをさらっと言ってみせるんだ…。
「はいはい」
まぁ、あたしもさらっと受け流すけど。