キミへ
「冗談だと思ってない?」
「冗談でしょ」
「まさか」
その言葉にあたしは玲音を凝視した。
「………大丈夫? 玲音」
「至って大丈夫だけど?」
「ホントに?」
「ホント」
ニコニコと笑う玲音にあたしはやっぱり冗談だと思った。
「ふぅん。あたしコッチだから、バイバイ」
だいぶ遠くのほうにいた千嘉もあたしに気付いて手を振ってくれた。
「ばいばい杏菜ぁ!」
「バイバーイ」
玲音に手を振って、後ろでじゃれあってた龍と怜衣にもバイバイと言って歩いた。
(玲音の本気はどっからが本気か、イマイチ分かんないなぁ……)
そんなことを考えて歩いていたら、後ろから思いっきり引っ張られた
「う、わ!?」
「っと」
顔を上に向けて見ると、怜衣だった。
ほんのちょっとだけ、玲音じゃなくてよかったと思った自分がいた。
「ビッ…クリした…」
「俺、呼んだよ」
「うそ…?」