キミへ

全っ然気付かなかった…。

どんだけ玲音のこと考えてんのよ、自分…



「てかどーしたの?」

「ん? んー……なんとなく?」



なんとなく、で着いてきたのか…。

なんかちょっと悲しいんだけど……



「ウソウソ。」

「へ?」

「ちょっと杏菜と話したくて」

「? 話すって、何を?」

「まぁいろいろ?」



怜衣は計画性がないってことをあたしは改めて知った。



「ふぅん?」



文化祭以来しゃべってなかったあたし達は、自然と喋ることは出来なかった。

あたしのせい…、だよね。

あからさまに避けてるのあたしだしね…



「…杏菜?」

「ん?」



怜衣の方を向けば、真剣な顔をしていて…だからあたしも少し強張った。



「俺さ……―――杏菜のこと、好きだよ」



その言葉にあたしの思考は停止した。




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