キミへ

そう優しく問われて、あたしは小さく『うん』と答えた。



《よし。なら大丈夫。
水曜日、怜衣にちゃんと言いな?》

「えっ、水曜日!?」

《遊ぶんだし、ちょーどいいでしょ? 帰り際にでも言えば?》

「え、ええ……」

《あのねぇ、言葉にして言わないと伝わんないんだからね?
それで後悔するのは杏菜だからねっ?》

「うっ…、わ、わかったよ…」

《ん。またなんかあったら電話してよ? 話聞くからさ》

「うん…。ありがとう雅」

《いーえー! じゃーねん♪》



プツッと電話切られた。

言葉にして言わないと伝わらない、か……。

たしかにそうだね…。



「勇気、出して言おう…。怜衣も、言ってくれたんだし…」



両想い、と思うとちょっと嬉しいけど、今はなんだか複雑な気分だ。



「よし、頑張ろ」



あたしだけ逃げてるなんて、嫌だから。

ちゃんと立ち向かうよ、怜衣…。




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