キミへ
「杏菜ー、迎えに来たよン♪」
ビッグスクーターに乗った雅が手を振ってた。
ちょっと恥ずかしいんですが……
「いやぁ、この日をどれだけ待ち望んだことか! アタシのケツには千嘉と杏菜しか乗せないからねっ!!」
嬉しいんだか嬉しくないんだかイマイチ分からんが。
「あ、ありがと…」
「いえー。よっしゃ行くぞ!」
メットをかぶってそれを合図にバイクは発進した。
向かうは玲音の家。
はじめて行くから朝からドキドキわくわくしてるあたし。
「はい、ついたー」
「………うそぉ?」
ついた場所は、豪邸の前。
豪邸…、いやホントにマジで豪邸。
あたしん家より、でかい……?
「杏菜ん家のがもっとでかいでしょ。ホラ、間抜け面してないで行くよ。お嬢様」
「え、ちょっ! それ言わないでよ?!」
素直に引っ張られるあたしだったけど、雅のお嬢様発言に足を止めた。