キミへ
「言わないからおいで」
くそぉ……、雅にはいつも丸め込まれる…。
「いらっしゃいませ、雅様、杏菜様」
年配のおじいさんが胸に手を当て、紳士に振る舞っていた。
様…か、久しぶりに聞いた。
専属の人かな…?
「みんなわぁ?」
「もういらしてますよ」
おじいさんについて行くとこれまたでかい扉の前についた。
「あ、ここ?」
「はい。どうぞお入り下さいませ」
おじいさんと目が合ったあたしは軽く会釈をして中へ入った。
「あっ、みやびん、杏菜! 遅かったね〜」
「みやびん言うなっつのに〜〜〜!!」
「イタタァ!!」
「ちょっ、みやびんやりすぎだって」
「杏菜まで!?」
そんなやりとりが面白くて笑った。
「お前ら元気だなぁ〜〜」
「やっぱみやびん達が居ると、むさ苦しいのが華やかになるよな!」
怜衣の声と龍の声が聞こえてきた。
よかった…怜衣がいて
まぁ遊ぼうって言った本人がいなかったらあれだもんね。