キミへ

「言わないからおいで」



くそぉ……、雅にはいつも丸め込まれる…。



「いらっしゃいませ、雅様、杏菜様」



年配のおじいさんが胸に手を当て、紳士に振る舞っていた。

様…か、久しぶりに聞いた。

専属の人かな…?



「みんなわぁ?」

「もういらしてますよ」



おじいさんについて行くとこれまたでかい扉の前についた。



「あ、ここ?」

「はい。どうぞお入り下さいませ」



おじいさんと目が合ったあたしは軽く会釈をして中へ入った。



「あっ、みやびん、杏菜! 遅かったね〜」

「みやびん言うなっつのに〜〜〜!!」

「イタタァ!!」

「ちょっ、みやびんやりすぎだって」

「杏菜まで!?」



そんなやりとりが面白くて笑った。



「お前ら元気だなぁ〜〜」

「やっぱみやびん達が居ると、むさ苦しいのが華やかになるよな!」



怜衣の声と龍の声が聞こえてきた。

よかった…怜衣がいて

まぁ遊ぼうって言った本人がいなかったらあれだもんね。




< 171 / 203 >

この作品をシェア

pagetop