キミへ

ニコリと笑って言えば拒否されたがその代わり、ぎゅっと抱き締めてきた。



「!……怜衣?」

「へへ、杏菜」

「ん?」

「大好き」



……生殺し。

また耳元ってのがせこいんだ。



「うん…」

「うんってなんだよ」

「いや、うん…。好きだよ?」



嬉しそうに笑ったかと思うと、何かを思い出したかのように怒り顔になった。



「? 何?」

「さっき玲音にキスされたろ」

「……あぁ、あれ?」

「あぁって…杏菜無頓着すぎる」

「いやだって、あれ口にされてない」

「へ?」



すっとんきょうな表情をしてあたしを見る。

コロコロ表情変わっておもしろい…



「ここここ。ここにされたんだよ」



そう指差すのは唇の真横のところ。

ギリギリ数センチ唇の横ってところだった。

最初はあたしもビックリしたけど。



「ホントに?」

「……かわい」

「…………。」




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