キミへ


「……うちにはわかるんだよ!」

「何が?」

「そーゆー感情?的な…」

「曖昧だな、おい」



千嘉をちらりと横目で見れば、首を傾げて未だ言葉を悩んでいた。



「とっ、とにかく!なんかわかるんだよ!」

「あー、はいはい」

「イタチ、龍は?」

「今日は休みだってさ」

「ちょっとぉ!!」



千嘉を然り気無くスルー3人に、千嘉はぷくぅと頬を膨らませ怒る。

あ〜…半分はあたしのせい、だよなぁ…。

あたしは未だに膨れている千嘉に手招きし、体を起こした。



「ごめんね千嘉?心配してくれてありがと」



にっこりと笑えば、千嘉はがばりと抱き付いてきて「いいよいいよ〜!」なんて言った。

うん、実に扱いやすくて助かるこの子。



「おいこら千嘉。杏菜は俺んだぞ」

「!」



べりっと千嘉と引き離され、代わりに怜衣が抱き付いてきた。

…はぁ。あたしの周りには抱き付き魔が多いなぁ…。來亞もそうだし。



(別に慣れてるからいーんだけど…)

「やだ、怜衣。千嘉にヤキモチ妬いてんの〜?」

「いつの間にそんな可愛くなっちゃったわけ?怜衣く〜ん」



ニヤニヤと茶化され、顔を赤くして怒ると思ったけど、



「わるい?」



なんて開き直るもんだから、こっちが恥ずかしくなって顔を赤くした。

それに…みんなびっくりして固まっちゃってるし…。

朝からなんつー爆弾発言してくれてんだか……。




< 190 / 203 >

この作品をシェア

pagetop