キミへ
大好きな空間
「「杏菜ぁ〜〜〜っ!!」」
朝、学校へ来て教室に入った途端、雅と千嘉に押し倒されました。
地味に背中が痛いんだけど…。
「寂しかったよぉ〜っ」
「ものすごく会いたかった!!」
「…わかったから、ちょっと退いてくれない…?」
「「あっ、ゴメン!」」
そう2人でハモり、起き上がらせてくれた。
「杏菜も玲音も居なかったからつまんなかったんだよ?」
制服に付いた埃を払い、千嘉の話を聞きながら席についた。
「そうなの?」
「そーだよ!つっこみ役がいないんだもん!」
つっこみ役って…あたしたちそんなにつっこみ入れてたかなぁ?
「てか、何で早退したの?」
「あっ、それオレも気になる!」
横からにょきっとイタチが話に入ってき、龍も龍で気になってるみたいでこっちを見ていた。(怜衣は寝てます)
「え〜…何でって、ねぇ?」
玲音に助けを求めるように言えば、溜め息をついた。
「家の用事」
「2人ともぉ?」
「家の、用事」
今度は“家の”部分を強調して言った玲音。
それにしばらく沈黙が訪れてから、千嘉が話を変えるようにして言った。
「そーいえば、もう2年終わるねぇ」
「あー、確かに」
「1年ってあっという間だなぁ」
「龍なんか、オジサンくさい…」
そういいながら雅はケラケラと笑う。
もうすぐ3年か…。そろそろ真面目に進路、考えなきゃなぁ……。
「せんせーが煩くなる時期だね」
「もうすぐテストだしね」
「うわーやだやだ」
……テスト、あるんだっけ。
真面目に授業もしてないのにテストがあるって…。
「(不思議な学校だなぁ…)」
「杏菜っ」
「ん?」
千嘉はにこりと笑みを浮かべてあたしに言った。
「勉強教えてください…!」