キミへ
−怜衣side−


杏菜が寝入ると、騒がしかった奴等が自然と静かになった。



「あ〜あ。怜衣が杏菜の隣キープしちゃってぇ〜」



恨めしそうに俺を睨む雅にニヤリと笑ってやった。



「羨ましい?」

「うん、スゴくね。むかつく」

「てか珍しいね? 怜衣がそこまで女に執着するなんて」



千嘉の言う通りだ。

前までの俺なら、女にすら眼中になかった。



「杏菜に一目惚れだな、怜衣?」



ニヤニヤした顔で笑うイタチに俺は『かもな』と笑ってやった。


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