キミへ
−玲音side−


杏菜の隣を陣取る怜衣だけど、その右隣にはちゃっかり俺が座ってる。



「…で、玲音くん?」

「あ?」

「お前何で杏菜ん時と俺の時との態度がちげェんだよ」



男に優しくする野郎をお前は見たことあんのかよ。

内心そう思いつつ分かりやすく溜め息をついた。



「溜め息…!」

「普段の仕返し」

「仕返し!? 俺何かしたっけ?!」



してなくもねェけど、したとも言えねぇ。

ま、お前の混乱する顔が見たいだけだけど。



「怜衣ってさぁ? ほーんと、」

「「バカだよねぇ〜」」

「ハモって言うな! 2倍傷付くっ!!」



うるせぇ、と思いながら俺は未だ寝てる杏菜に目を向けた。

いつもは見せない、杏菜を見るときだけ変わる目付き。

優しそうに、愛しそうに見つめる。

怜衣が杏菜に本気だって分かる。でも、俺だって引けない。

俺も、杏菜が好きだから……――


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