キミへ


とりあえず止めに入ったのはいいけど……。



「本気すぎない…?」

「だから杏菜に…」

「いやいや、あたしにもさすがに限度ってモンがあるからね? 千嘉ちゃん」



さすがに男同士の本気のケンカに首を突っ込みたくない。

でも、いい加減止めてくれないとなぁ、被害がすごい事になっちゃう。



「…どうやったら止まるかな?」

「あっ、やる気になった?」



なんでそんなに楽しそうなの。



「杏菜が一言言ってくれれば止まるよ」

「え〜…?」



一言…って、何を言えばいいの?



「あ、そうだ。杏菜ケンカ見るの好き?」

「嫌い」

「じゃあ今目の前でケンカしてる人達は?」



あたしは怜衣くんと玲音に顔を向けて、ハッキリと言った。



「好きじゃない」



すると、2人の顔面スレスレで握られた拳が止まった。

……見てるこっちがヒヤヒヤする




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