キミへ
「あんまいい気になんなよ、玲音…」
やばい…、これは本気でやばい…。マジで怒ってる……。
「あ…? いい気ってなんだよ? 杏菜はてめぇのじゃねぇだろ」
「玲音止めなって!」
もう、本気になった2人を止める術なんてない。
………いや、1つだけある。
「千嘉、杏菜呼んできて」
「えっ、でも…」
「いいから呼んでこい」
少し肩を揺らして、走って杏菜を呼びにいった。
もしかしたら…、杏菜なら止められるかもしれないと信じて。
そして千嘉は杏菜に止めて、とお願いしていた。
「いやいや、あたしにもさすがに限度ってモンがあるからね? 千嘉ちゃん」
確かに。男のケンカを女が止められるなんて微塵も思わないけど、杏菜なら止められるかもしれないんだよ。
「杏菜が一言言ってくれれば止まるよ」