キミへ
きっとにっこり笑って言ってるであろう千嘉に杏菜は困っていた。
じゃあこうしよう。
「杏菜は、ケンカ見るの好き?」
アタシは杏菜の横に立って、安心させるように笑った。
「嫌い」
「じゃあ、今目の前でケンカしてる人達は?」
杏菜は、玲音と怜衣に目を向けてハッキリとした口調で言った。
「好きじゃない。」
と。それが聞こえていたのか、2人の拳は顔面スレスレで止まっていた。
アタシはホッ…と息を吐いて2人のところに行った。
「好きじゃないって、言われちゃったけど」
『どうする?』なんて言うと舌打ちしてどこかへ行こうとする。
「コラ。手当てしなきゃダメでしょ?」
ほんと、男ってバカばっかりなんだから。