キミへ
−怜衣side−

玲音について行こうとした杏菜の腕を掴んだ。

なんだ俺…。なんで子供みてぇなことしてんだよ……。



「…怜衣くん?」



不思議そうな、心配そうな表情で俺を見つめる杏菜。

玲音は『玲音』なのに、なんで俺にはくん付けなんだよ?

なあ杏菜、玲音と何話してた?

玲音、なんであんな嬉しそうだったんだよ…。



「杏菜…」

「ん?」

「……、」



ハッキリ聞けない俺は、杏菜の口から聞くのが怖いのかもしれない。



「怜衣くん?」

「あのさ…」

「うん?」

「くん、付けんのやめて」

「へ…?」



すっとんきょな声を出して目を見開かせる。

そんな杏菜見て可愛いなんて思う俺は末期?



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