キミへ
「モテますねぇ〜、杏菜さぁん」
「あの先輩、結構人気なんだよぉ?」
未だにニヤニヤしてる2人に少しだけ溜め息をつきたくなった。
「えっと、確か名前は……」
「柏木先輩だよ! 柏木悠先輩」
「そんなに人気なの?」
2人は『そりゃもう!』と言わんばかりに首を縦に振った。
「柏木先輩って、頭いいし運動神経もいいし」
「ほんと。言うことないよ」
「ふぅん。でもあたしあの人の事知らないし」
第一、あの人に会ったことなんて一度も無いのに。
「まぁ確かにねぇ〜」
「接点とかも無いしねぇ」
「先輩には申し訳ないけどさ、断るよ」
中途半端なことしたくないし。もうちょっとお互いのこと知ってるならまだしも。