キミへ

「モテますねぇ〜、杏菜さぁん」

「あの先輩、結構人気なんだよぉ?」



未だにニヤニヤしてる2人に少しだけ溜め息をつきたくなった。



「えっと、確か名前は……」

「柏木先輩だよ! 柏木悠先輩」

「そんなに人気なの?」



2人は『そりゃもう!』と言わんばかりに首を縦に振った。



「柏木先輩って、頭いいし運動神経もいいし」

「ほんと。言うことないよ」

「ふぅん。でもあたしあの人の事知らないし」



第一、あの人に会ったことなんて一度も無いのに。



「まぁ確かにねぇ〜」

「接点とかも無いしねぇ」

「先輩には申し訳ないけどさ、断るよ」



中途半端なことしたくないし。もうちょっとお互いのこと知ってるならまだしも。



< 53 / 203 >

この作品をシェア

pagetop