キミへ

その叫んだ張本人は先生と後の3人にどつかれていた。



(うわ…、痛そう…)

「バカ怜衣! うるせーよボケ」

「鼓膜が破れそうになった」

「このドアホ! 杏菜ちゃんビビってたじゃん!」

「もうしね! ドカスが」

「て、てめぇら……ッ」



頭を押さえながら立ち上がる彼は、怜衣くんというらしい。


「賑やかだね…」

「そうか? うるさいの間違いだろ」

「はは…」

「おい玲音! 杏菜口説くなよ!」



早速呼び捨てですか…。まぁいーや。



「……何であたし抱きつかれてる?」

「バカ怜衣ー―――――ッ!!」

「ぐへっ!!」



さっきの可愛い女の子が怜衣くんに強烈なキックをした。



「大丈夫大丈夫大丈夫!?」

「落ち着け、雅」

「怜衣は悪魔だから、ちょっと触られただけで妊娠しちゃうよ」

「えー…?」



冷ややかな目で怜衣くんを見れば、何かを弁解するかのように両手と顔を左右に振った。



「んなワケないじゃん!! おいイタチ! 変なこと吹き込んでんなッ!!」

「イタタタタッ」

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