可愛いあの子は危険生物<短>
憧れの的っす!
学校の美少女。
柊るるか(ヒイラギ ルルカ)
アイドル的愛らしさ。
細い手足に小さい顔。
ぷるんとみずみずしい唇に、ピンクの頬は天然チーク。
腰まで伸びた黒髪ストレート。
それはそれは男子勢の注目の的。
俺も、その一人。
ただし、
俺は見る専門。しかも遠くから。
目立たない俺が皆の憧れの君に近づこうなんざ100万年早い。
自分で分かってる。
だから見るだけなんだ。
それならいいだろう?
誰にも迷惑かけてないし。
だって柊るるかは可愛い。
それはもう可愛い。
愛らしい。抱きしめ────…いやいや、それは自分の中のルール違反だ。
煩悩は捨てろ。
『新(アラタ)君』
廃棄処分するんだ。
『ねぇ新君』
あぁ、処分しきれてないからこんな妄想が広がるんだ。
『あーらーた君』
そうだ。これは妄想だ。
だってあり得ない。
柊るるかが俺より遥かに小さい身を乗り出して、ピョンピョン跳ねて、黒髪を揺らして、小鳥のような声で、俺の下の名前を呼んでるだなんて。
『もう!新君たらっ!』
「…痛てててっ!」
妄想の中の柊るるかが俺の足を踏んで……
何故か実際痛くて………
痛いって事は…………………
「妄想じゃ、ない…?」
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