暗黙



今日もまた、あの夢をみた。


薄暗い正方形の箱の中で目が覚める。
病院のベッドをもっと古くしたようなボロの上で毎晩眠りにつき、毎朝目を覚ます。


こんな生活をはじめて、早3ヶ月が過ぎた。


やがて朝食がやってきて、そのなんともいえない味を味わい、
部屋にある三冊の本のうちひとつをー要望をだせば別の本も貰えるー読み、朝礼を行い、勤労し汗を流し、昼食を食べる。同じ女囚人とプライバシーも気にせず常にオープンなシャワー室で体を洗い、あとは夕食までまた本を読む。


これが、野宮雪子の囚人生活だ。

彼女は、これから先5年間、この生活を続けなくてはならない。
苦痛ではないが、嬉しいわけでもない。
なんの躍動もない日常を、5年間、過ごすだけの話である。

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