皇〜最強の名を冠する者〜
妃の言葉を受けて、自身も苦笑していた皇帝だったが、ふとそれをやめた。
「さて、いい加減任務をやらないとな。……妃。周辺に被害がおよばないよう、谷底に結界を。」
「はい。」
谷底に不可視の結界が築かれたのを確認すると、皇帝は一歩前に出て右手をあげた。
「『ムートレイン』」
その言葉と同時に、空には大量の黒い粒が。
皇帝が指を鳴らすと、その粒はいっきに谷底へと落ちていった。
まるで…雨のように。
そして、その雨が止んだとき、谷底には何もなかった―――――
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