皇〜最強の名を冠する者〜
――ギルド本部《神の導き》――
先程の銀のローブを着ている2人は、任務の報告をするためにギルド本部に来ていた。
今まで廊下を歩いていた2人だったが、ある1つのドアの前で立ち止まり、ノックをした。
『どうぞ。』
中からの返事を受け、皇帝はドアをあける。
中にいたのは……男…だった。
机に向かい何かの資料に目を通していたその男性は、中に入ってきた2人を見ると笑みを浮かべた。
「おかえり。『皇帝』、『皇妃』。」
カイン・ロバート
それがこの男の名前である。
年はおそらく30代前半。最年少でギルドマスターに就任し、絶大な信頼を得ている。
物腰が柔らかそうで穏和な印象を受けがちだが、実は昔、かなり冷酷無慈悲な性格だったらしい。
――――ぜんぜんそうは見えないが。
「………先程任務を完了した。」
「それと、任務依頼では300万体と聞いていましたが、おそらく600万体はいましたよ、マスター。」
「お疲れ様。
………300万も誤差があったか……分かった、偵察員に言っとくよ。ありがとう、2人共。…………あ、フードと布外していいよ。」
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