街角トレイン
「あかり、カラオケ行こ」
「どしたの!?急に」
「…いいから」
「なんかあったんだね」
「い、いやっ!何もないよ!」
「あんたのその赤く腫れた目で
泣いてたことがバレバレなのよ」
あかりはいい勘してるなぁ。
あかりには隠し事できないや。
今日のあかりとのデートで…
昨日のメールのこと、ちゃんと話そう。
「さぁ!歌お♪」
「待って!その前に…
あかりに聞いてほしいことがある」
「うん。なんでも話して?」
「キキくんのこと…
私、球技大会で
キキくんに会ったんだ。
それで…二人共退学にならないように
知らない人のふりをした。
その時からキキくんの様子
おかしくなっちゃって…。
ピッチャーで、私に代わって
隼人がバッターに行ってくれた時
私にはキキくんが
怒ってるように見えた。
きっと、気のせいだと思うけど。
電車でも見かけなくなって…
心配になってメールしたの。
そしたら………
"あんた誰"ってメールが来て……
ぐすっ…う、うぇ〜ん!!」
なぜだか涙が出た。
私が悪い…私が……全部悪い。
わかってる…わかってるけど…
[ララは悪くないよ]
そう言ってほしかった。
でも、あかりの口からは
私の期待はずれの言葉が返ってきた。
「バカだね。
ララって、そんな
ひどい子だったっけ?」
「…ひどい…子?」
「キキくんが、怒って
他人のふりをする理由
私にはわかるけどな」
「……わからないの、私には」
「単純なこと。
ララは他人のふりして
キキくんを拒否ったでしょう?
それと同じことを
キキくんもしたんだよ」
「私………だって退学にならないよう…」
「そんなの優しさでもなんでもない!
ララが流した涙。
キキくんも
同じ涙を流したんじゃないかなぁ?」
「……」
私は言葉が出なかった。
私のしたことが
どんなにひどいことか、わかったから。
キキくん……ごめんね…?
ちゃんと謝らなきゃね…。
「私…キキくんに電話してくる!」