街角トレイン



「楠美くんに絶対音感が
あったとはな。驚いたよ」
「ありがとうございます。」
「最高の曲だよ。今すぐにでも
歌ってほしいくらいだ」
「18日にレコーディングの
予定ですよね?」
「あぁ。しっかりやってくれよ」
「はい」



期待されてる…。



こんな心の中がぐちゃぐちゃな私に
あの歌を歌いこなせるはずがない。



…キキのことを考えなければ
私はいつも通りでいられる。



でも…



そんなこと、できないよ―…



+--+--+--+--+--+--+--+



『今日も病院行けないや…ごめんね』
『気にしてないよV(^O^)
ララ!頑張れよ』



最近、お父さんに
会いに行かなくなっていた。



忙しいのもあるけど
何よりお父さんが辛そうにしてるのを
じっとして見ていることが
できなくなったからだ。



レコーディングが終われば
やっと一つ大きな目標が
達成できる。



レコーディング終了後に
お父さんに会いに行こうと思っている。



「お父さんのために、頑張ろう」



< 42 / 58 >

この作品をシェア

pagetop