街角トレイン



「で…なんであかりがここにいんの?」
「決まってるでしょー♪」



昨日の出来事を知ったあかりは
わざわざ様子を見に、駅まで来たのだった。



彼女が言う限りには
『ララがちゃんと名札を返せるのか
心配で来たの』
と、なんともありがた迷惑な理由だ。



「あかりが来てくれなくったって
私はちゃんと返せますーっ」
「拗ねちゃって〜」
「〜〜〜〜〜っ!」
「ははっ!!ララ、顔真っ赤」
「うるさいなぁ〜もうっ!」



あかりのこういうところが苦手だ。



でも…あかりは本当に
私を心配して来てくれたのだと思う。



朝練もあるだろうに…。



自分より友達を大切にする
なんとも友達想いなあかり。



やっぱりあかりは
私の一番の親友だ。



「ぁりがと…」
「?…あっ!ララ、電車きたよ」
「いよいよだね」
「頑張って話しかけるんだよ」
「わかってる」



今日こそは。



あかりのためにも
…自分のためにも
キキくんに話しかけて
名札もきちんと返さなきゃ。



プシュー…



「行こっか」
「うん」



私達は、少し緊張しながらも
電車の中に入った。



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