街角トレイン
【恋の始まり】
「ララ、キキくんから連絡あった?」
弁当のおかずに入っていた
真っ赤なトマトを頬張りながら
あかりが言った。
「まだなの」
あれから一週間。
まだキキくんからの連絡はない。
私は連絡なんて来ないと
自分に言い聞かせながらも…
心のどこかで期待していた。
バカな私。
期待なんかしたって
キキくんから連絡がくることなんて
あるわけないのに…。
そんなことを思っていた時だった…。
♪♪♪…
知らない番号から
電話がかかってきた。
まさか…。
「はい…楠美ララですけど…」
『あっ、雨宮キキです…って言っても
わかんないか』
ついに…来たーッ!
「いやっ!わかります!
いつも私と同じ電車に
乗ってる人ですよね?」
[Aによる雑音]
『うん、そうそう!…ていうか
今学校だよね?
電話なんてしてよかった?』
「全然いいですよ!!…でも………」
[Aによる雑音]
『でも?』
「友達がうるさいんで
また改めて、今度は私から
電話してもいいですか?」
[Aによる雑音]
『いいよ。じゃあ』
緊張した…。
「ララ♪その顔は
キキくんからだねっ!?」
「うん…てか、あかり…」
「ん?なぁに?」
「うるさすぎ。」
「だってぇ〜、嬉しかったんだもん」
容疑者A=あかり。
「私のことなのに
なんであかりの方が喜んでるのよ」
「ララの幸せは…あたしの幸せなのっ!」
あかりはどこまでも
友達想いだなと思った。
今日家に帰ったら
一番にキキくんに電話しよう。