夏の日の出来事
「由愛!!待てよ!!何処行くんだよ!!」
「.....」
後ろから、聖夜があたしを抱き締めた
男は振り返って目を見開く
「アンタ、誰だよ」
「てめえこそ、誰だよ」
「俺ら、これから行くとこあんだから邪魔すんじゃねえよ」
「どうせラブホだろ?しかも5万。由愛はそんなんじゃ買えねえよ。――由愛を買うのは、俺だから」
...何言ってんの?
あたしは聖夜を振り払う
「やめて。あたしはアンタなんか知らないしあたしは由愛じゃない。人違いじゃないですか?」
男と腕を組む
「あたし、この人と一緒に行くから」
「由愛...」
「もう...構わないでください。行こっ」
「あ、あぁ」
男はちょっと戸惑っていた
別に...誰だっていい
誰でもいいから...寂しさを埋めたかった
「ふざけんな」
「ちょっ!?」
聖夜があたしを横抱きする
「悪いけど、コイツを最初に抱くのは俺だから」
「ちょ、てめえ!!待てよ!!」
聖夜はあたしを抱っこしたまま走った