夏の日の出来事


時々、ずきずきと痛む


だけど、お母さんが守ってくれた命が生きてるって思える瞬間


お父さんとお母さんは、一緒に生きてると思える瞬間


そんな瞬間が大好きだった


「璃乃ー♪」


「あ、康祐♥」


「康祐君、授業もう終わったの?」


康祐君とは、梨乃の彼氏


中3から付き合ってる


羨ましい、とは思うけど...


あたしには縁もゆかりもない話だと突き放してる


「北野も彼氏作れよなー」


「気が向いたらね」


そっぽを向いて、夏空を見上げる


夏じたいは嫌いだけど、夏空は好き


お父さんが、よく言ってたから


『全部を嫌ってもいいけど、空だけは味方につけろ。そしたら、きっと何かいいことがあるから。空は嘘は言わないから』 って...


「ほれ、聖夜。お前もこっち来いよ」


聖夜?


誰それ?


「あ、聖夜君!?!?」


凜乃の声が変わったのが分かった


「めちゃくちゃイケメンで噂の聖夜君だよね!?」


「....」


「コイツ、初対面には絶対話さないからさー」


誰それ、あたし知らないんだけど...








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