夏の日の出来事
「俺、お前がやっぱ好き」
「...聞きたくない」
そんな同情...
聞きたくない...
「いいから最後まで聞けよ」
「っ...」
聖夜の声が、怒ってる
「最初は、許してもらおうと思って声掛けたよ。家に呼んだのも、全部。まあ...母さんが帰って来たのは想定外だったけど」
クスッと笑う聖夜
「でも、気付いたんだ。許してもらいたくてそばに居るわけじゃない。由愛の笑顔が見たいって思う。同情とか、そんなじゃない。由愛の一緒に居ることで、由愛が傷つくのは分かってる。だけど、だから由愛を守りてぇって本気で思う」
「だから...俺と付き合って欲しい」
「ちょっ...」
抱き締められる
聖夜が、全身で、好きって言ってる
これは...同情なんかじゃない...
本気...なんだ...
でも...
「付き合えない」
「.....」
「だって...そうでしょ...?あたしは被害者。変えられない事実がここにあるんだよ」
「そんなの...これから俺が全部変えさせてやる。...夏が好きって言わせてやるよ」
勝ち誇ったような目
あたしは、この目が好き
聖夜と一緒に居れば...何かを変えられる...?
聖夜を好きになれば...あの日のことも許せる...?
「...上等じゃん。夏を好きにさせてよ」
聖夜を抱き締め返した