夏の日の出来事


「君は...」


「北野です。北野由愛です」


「...もう高校生になったのか...」


「はい。1年生になりました」


「そうか...」


おじさんは、弱弱しい声をしている


...十分苦しんでるんだ...


「あたし、おじさんを許そうと思うんです」


「え?」


「....」


聖夜が驚いてる


「たしかに今も心のどこかで許せてない部分もあります。けど...おじさんは十分苦しんでると思うんです。あたしは...もうそれで十分です」


「聖夜と居て、分かりました。過去ばっか見てないで...今を見るのも大切なのかなって。お母さんとお父さんが居ないのは寂しいですけど。でも、あたしには今があると思えるから」


「由愛....」


「だから、もう十分です」


気付いたら涙が出ていた


あたし...間違ってないよね...?


きっと...こうなることを望んでるよね...?


「ありがとう...」


「えっ!?」


聖夜があたしにお礼を言ってくる


「ちょっ!?」


なんで聖夜が泣くの!?


「ホントに...ありがとう...」


「うきゃっ!?」


あたしに飛び付く








< 55 / 121 >

この作品をシェア

pagetop