夏の日の出来事


だけど...


いつまで俺の嘘が通じるだろう


...本当は俺、病気なんかじゃないこと


あの嘘は、親父にも協力してもらった


由愛が...どんな反応をしてくれるか


だけど...思っていた以上に優しくて


俺、本当はもう耐えられねえ


これから...もっと優しくなる由愛を...


見てられない...


「由愛...俺...」


「うん?」


ピロリン♪


タイミングよく誰かの携帯が鳴る


「...親父か...」


隣の部屋で寝てる親父の携帯


「どうしたの?」


「...いや、なんでもない」


やっぱり...今は言わないでおこう


もう少し...


もう少しだけこのまま...


優しい由愛を見ていたい、愛していたい


もし...言ってしまったら...由愛は...


どこかへ行ってしまう気がして...


ある意味病気かもしれない


『由愛依存症』ってやつ


病気じゃないか




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